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神戸リカバリー法律事務所



コラム
                                            

「運動会讃歌とプールの歌」

 僕の母校妙法寺小学校にはいくつかの自慢がある。

 1つは自然学習教育園、愛称、自教園(じきょうえん)だ。

 小学生が自然環境を通じて様々なことを学べるように、教職員や学校関係者の尽力により、学校の裏山を整備して造られたもので、当時、全国の小学校でこの自教園を持つのは妙法寺を入れて2校だけと聞いた記憶がある。

 当時、小学校の時間割には「自」という文字で自教園の時間が組み込まれており、山まるごと1個を使っての鬼ごっこ、かくれんぼ、缶けり、飯ごう炊さん(何というゴージャス、贅沢にも程がある)は、僕ら小学生にとって最も楽しみな時間の1つだった。

 妙法寺のもう1つの自慢は、「若きいのちー運動会讃歌」と「プールの歌」という名歌だ。

 運動会讃歌は、

 晴れたそらのもと わたしたち 心あわせて つどいきぬ

 胸をはり リズムにあわせ 進めよ 歌えよ ひびかせよ

 ああ 妙法寺の若きいのち 世界の空に はるばるととべ

と謡う。

 プールの歌は、

 あおあおと 山はもえて 私たち 喜び歌う

 美しこの水 喫水線 こころもはずみ あがる水しぶき

 明るい太陽 空にかがやき 楽しく泳ぐ 私たちのプール

と謡う。

 運動会、プールとあえてテーマを限定しながら、かつてこれほどまでに人々の心に残り、歌い継がれる歌があっただろうか。

それらを待ちわびる小学生の心情と、それらがようやく訪れた歓喜の気持ちを見事なまでに表現している。

 特に、「美しこの水 喫水線」のくだりは秀逸である。

 喫水線(きっすいせん)とは、「静水面に浮いている船体の水面と接する線」   を意味するそうだが、この歌のすごいところは小学生にその「喫水線」を歌わせようとしたところにある。

 僕は、東京の下宿に遊びに来てくれた小学校以来の友人と、これら名曲を声高らかに歌いあったものだが、隣の部屋に聞こえないかとひやひやした(ついでに少し恥ずかしかった)。

 いずれにしても、卒業して何年もが経過し、いい大人ともいえる大学生を熱唱させたのは、これら名歌が持つ底知れないパワーと言ってよいだろう。

 などと考えていたところ、運動会讃歌の作詞が、あの「兎の眼」、「太陽の子」で知られる著名な児童文学作家、灰谷健次郎であることが判明した。

 かつて灰谷健次郎は神戸市の教員をしており、その最初の赴任地が妙法寺小学校だったのだ。

 すなわち、運動会讃歌は、若き日の灰谷さんが、妙法寺の大先輩に贈った宝物のような歌だったのだ(感動)。

 近時、住宅地の開発により、自教園も無くなってしまったのではないかと危惧していた。

 妙法寺のような田舎にも容赦(ようしゃ)なく開発の波は押し寄せるが、名歌だけは人々の心に残り、それを愛する者によって永遠に歌い継がれていくのだ。

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